歩いて歩いて まっすぐまっすぐ
わ！*1
不思議ワンダーランドの扉が突然開くってこういうこと？？
そこは奇想天外に満ち溢れてるんだ。
だってね、集合場所がないの。
脳内に届いた案内状には
開場の時間の頃、とにかくまっすぐ歩いてください
って書いてあっただけ。それだけ。
突然ハープのようなハンドベルのような音が鳴り響いて開場時間を知らせた
と同時にどこかへ移動した
空から降ってくる子、地面から顔を出す子、目の前に忽然と姿を現す子
きらきらした目で集まっちゃった。不思議ワンダーランド。
その目の輝きでどんなにこの国に入りたいかすぐわかるから
入国審査はいらないんだって。この場所に集まったこと自体が
フリーパスな証拠。本気で好きな人はみんな集まれ！
気持ちがあれば絶対に入場可。それが証拠だから。
ワンダーランドツアーが始まるの。一名から添乗オッケー。
目印はハシビロコウのテツタくん。めったに動かないからわかりやすいの。
ツアーコンダクターは黒いニット帽かぶって、黒いマフラー巻いて、穴の開いた
セーター着てるんだけど、白ウサギなの。ときどき「あ゛！」*2って言う。
場内には分身白ウサギがたくさん散りばめられていて
さめの背びれをつけていたり、犬の仮装していたり、蝙蝠少年だったり、
マイケルだったり、焼きそばパンほおばっていたり、プールで泳いでたり、
いっぱいいるんだけど、すぐに白ウサギだってわかっちゃうんだ。
だってさ、ピザ宅配してるからさ。
ときどき猪木な顔をしてるからさ。
会場の中は熱気でむんむん。なにしろなんでもあるんだから。
世界中の雰囲気と、この世のものでない雰囲気と、四次元の雰囲気と
宇宙の雰囲気と、スピリチュアルな雰囲気と、肉体的な雰囲気と
熱い視線と、こぼれるため息と、ひそひそ話と、くすくす笑いと、
白ウサギ。
ダンスホールに足を運べばほうらお隣にはタキシード着た白ウサギ*3
指の長い美しい手で優しく手をとってステップ踏んで、ワントゥースリー、アンドゥートロワ一緒に踊っているよ。タンゴ、ルンバ、ジルバ、ワルツ
体を寄せ合って、見つめ合って、顔を近づけて、離れてまた近づいて、息がかかるよ、まわって、まわって、まわって*4 *5
まわって まわって まわって 顔がほてって、汗が飛び散って、頭がクラクラして
夢見心地妄想狂で目が回って足がもつれて体がからまって気が遠くなって
ふわっと浮き上がって保健ブースに運ばれて
目が覚めたら
目が覚めたら？
歩いて歩いて まっすぐまっすぐ
真っ青な空が夕焼けに変わって行くのが見えたよ
胸いっぱいに幸せ詰めて おうちに帰ろう
