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アラカンからの挑戦

野田秀樹「THE BEE 日本バージョン」 三軒茶屋シアタートラム


三軒茶屋って、あんまり用がない場所だけど、うちの子がまだよちよちしてた頃、たまプラーザに住んでいて、今住んでいる所に家を建てる際に住宅メーカーに呼ばれて行った場所だった。ちっとも変ってない。


小さな劇場前にたむろする、演劇人らしき人たち。服装や雰囲気からして「演劇」っぽい(笑)一枚の大きな模造紙が敷かれただけの背景。どの位置に座っても舞台は近い。


キャッツのディズニーランド的装飾から一気にすべてをそぎ落とした舞台へとやってきたと思われ…。


左サイドはじっこの席に座った私の横を、普通のおっさん化した野田さんがとことこと降りていく。四人だけのストレートプレイ。野田氏以外は、何役もこなす。それも一枚の模造紙を畳んだり、折ったり、切ったり、破ったりしながら場面を変える。演劇ってお金かけなくても見事に出来上がってしまうのだな、と改めて思う。


初めて野田氏の演技を間近で見ました。いったい何歳なんですか?あの柔軟で、軽やかで、バイタリティあふれる肉体の所有者は??決して大きな声を出していないかもしれないのに、ちゃっと響いて聞こえる声の持ち主は?


相当に痛い話でした。人間の狂気を心底感じる話でした。普段からスティーブンキングを愛読している私でさえ、体に痛みを感じる舞台でした。狂気の沙汰…。壊れた人格、マスメディアへの批判…、いろんなメッセージがふんだんに入っている舞台でした。


原作は筒井康隆氏の「毟りあい(むしりあい)」。暴力の意味のわからなさ、それに意味をつけることの意味のなさ。人間の恐怖心と狂気。窮鼠猫を噛むような、論理の破たんした暴力性。


後から後から、後味の悪い劇です。