心身ともに《豊》な《未來》を!

アラカンからの挑戦

ケガをしても動けない時


たった3000メートルの高さで、人ってどうしようもなく無力。


ちょっとテンパってるかも>自分
だから畳んじまいなっ!


父が山の頂上付近で転倒して、山荘で手当てを受けていた。でも自力で下山できない状況。手足、頭に異常がなく、肋骨が多少折れ、肺を傷つけた模様。しかし予断を許さない状況であるとTELが来たのが22日夜。呼吸が荒いということ。


昭和大学山岳医療チームが常駐する山小屋だったので、応急手当はしてもらえた。でも、到着したのが夕方だったために、ヘリでの輸送が困難。少なくとも一晩を山荘で過ごさなければならない。「ご家族の方は覚悟をしておいてください」的なTELが夜8時頃。


文明がこんなに発達していても、人力が届かない世界。こんなに身近にある。そこの山荘は実は通常の携帯電話も通じない。本当に緊急の場合にだけ登場する衛星経由の携帯があるだけ。今回は緊急だからそれが登場。それでも山の天気が荒れれば通じない。


どんなに気持ちが急いても、朝5時までは少なくともヘリが飛ばない。ヘリが飛ばなければ自分たちでは行けない3000メートルのところに父はいる。松本市の病院へ搬送予定だと聞かされ、翌日からたまたま那須へ旅行する予定だったのを、家族だけ(親、兄弟ともに)行ってもらって、自分は実家の母の元へ行き、二人で松本まで行くことにした。


9時半過ぎに山荘へ連絡すると、病状がかなり落ち着いてきたとのこと。このまま安定すれば安心かもしれない、と聞き、やっぱり家族は予定通り那須へ、私は松本へ。


東京都下の実家まで電車で移動。実家で仮眠を1時間半とり、車で出発。予定では3時間程度で到着するハズ。途中、何度か山荘に連絡してみると、かなり安定しているが安心はできない状況だという。昭和大学山岳医療チームの存在がとっても有り難い。


5時に松本到着。天気は晴れ。しかし、人力が届かない世界。雲の上の世界はここからは見えない。ガスで一面覆われている。松本を取り囲む山々の姿がいっこうに見えない。案の定ヘリは飛べない。午前8時。ガスが切れたら飛べるのだが‥、と相変わらず下界と雲上の世界の違いが濃い。ものすごく良い天気、暑い松本。


午前10時。まだ飛べない。しかたないから松本城を見学。晴天で暑い。30度は超えてそう。6階の天守閣まで登っても北アルプスは見えない。ガスってる。10時から12時の間にガスが切れる可能性があるので、その時が来たらすぐに搬送すると連絡あり。じゃ、そろそろ病院の近くに移動しよう、と病院前に到着すると、ガスが切れたから今から搬送します、と連絡あり。


ヘリポートのある病院らしいと聞いていたが、どうやら安曇野までヘリで来て、救急車に乗り換えて到着するらしい。いやあ、山でケガをするってことは大変なことだ。11時半頃、救急車到着。昭和大学山岳医療チームの学生さんが数人付添い、とりあえずしっかりした父と対面。その後は順調に全ての検査を受け、手際のよいスタッフの体制に助けられ、一気に入院手続きに。


担当の先生の話だと、山荘にいた時が病状としては「ヤマ」だったと。そこで適切な処置を受けていたので、もう安心です、ということでした。あとは肺を痛めて、穴に入り込んだ空気などを外に排出し、肋骨の状態を安定させれば退院ということ。


悲惨なほどに大変な事故ではなかったのに、いる場所が場所なだけに搬送もできず、もしかしたら悪化してさようなら、だったかもしれない状況でも家族はそこまで行けない場所。それが山なんだよな〜ってつくづく。


ま、自分が槍に登った時にも何度か感じた「一瞬の気の緩みで一気に大けが」のアドレナリン出まくり状態な場所なわけだから、最終的には登山する人間の責任、それだけになっちゃうんだけどね。そのアドレナリン放出、これはくせ者。やっぱりどんなに危なくてもまた登りたいって思ってしまう。父から受けた血ですかね???


松本から帰り、実家からわが家に帰る道すがら、新宿で「クライマーズハイ」を見た。御巣鷹山のあの墜落事故は大学生の時の鮮明な記憶だったわけだけど、山登りのシーン、なんとも言えない気持ちだった。あれは断崖絶壁を登るクライマーの話だけど、やっぱりいいなって‥。話の中にも出てきたけど、クライマーは二人で組んで岩を登るんだけど、「落」、つまり石を蹴り落としてしまったりしたら、下にいる人に「落!」と伝えなくてはならないわけど‥。人力の及ばない世界。その石に運悪く当たって死んでしまったクライマーの話も出てきたね。


うーん、松本まで行って山だけ見て帰ってきたのはなんだか残念。穂高北岳剣岳にもやっぱり行きたいな〜〜〜〜〜〜。


って、父が安定したので言えること。